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『さとや』は、カナタのお祖父さんとお祖母さんが営んでいる定食屋さんだ。
市立図書館からは、歩いて20分もかからない場所にあった。
リーズナブルな価格で、ほっこりするような家庭の味を提供している。
いかにも昔ながらの食堂、といった感じで、サラリーマンや貧乏大学生に人気の、知る人ぞ知るお店だ。
あたしたちは、日に灼けて色褪せた藍染めの暖簾をくぐって、店内に入った。
お昼前の店は、まだ三組ほどのお客さんがいるだけだった。
「あら〜〜っ!!!
美遊ちゃんじゃないの〜〜っ!!!」
はい、このハイテンションで素敵なおばあさまが、カナタのお祖母ちゃんです。
「おう、久しぶり、美遊ちゃん」
こちらの、渋いお声にダンディーなお顔の、でも優しい表情のおじいさまが、カナタのお祖父ちゃん。
はぁ〜、相変わらず、カナタに足りないものを補うかのような見事なファミリーですこと。



