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終礼が終わると同時に、カナタがあたしに向かって近寄ってくる。
何事かと思って身構えていると。
カナタはあたしの机の目前でぴたりと足を止めて、にっこりと笑いかけてきた。
「みーちゃん。帰ろ」
がくっ。
あたしは椅子から転げ落ちそうになった。
「なに言ってんの? カナタ」
カナタは不思議そうに「え?」と首を傾げた。
そのきれいな形の瞳に窓際の光が射し込んで、薄茶色に透けている。
艶のあるさらさらの髪にも光が当たって、茶色く光っている。
…………いやいやいや!!
なに見惚れちゃってんの? あたし!!
そんな場合じゃないからっ!!



