「まぁいいや、またじっくり聞かせてもらえる日が来るのを待つか。」




そう言って軽く笑う男子。
あ、芙夏君だっけ??
まぁ、誰でもいいけど…

聞かせてもらえる日なんて来ないと思うけど…と思いつつ、
私の頭には"トラウマ"の事しかなかった。



「それよりさ、」



芙夏という人がさっきまでのことはなかったように、話をかえる。



「俺の名前を聞いてもなにも思わないの?」




は?あんたの名前を聞いて?
芙夏…何君だっけ…?
それさえも思い出せないのに…。




そんな私を察したのか、芙夏という人は、



「もしかして名前忘れたとか言うなよ…?」



と恐る恐る聞いてくるものだから、私も



「すみません、忘れちゃいました、」




と言うしかなかった。




「お前…記憶力悪いのか?
本当にアホだな。」




「はいはい、どうせ私はアホですよ、
あ、でも、私…」