「俺の名前は…ふ…」




ピリリリリリリリリリリリリ





俺が、苗字の"芙夏"を言おうとすると、"ふ"のタイミングで、着信音が鳴り響いた。





「あ…私の携帯…」




ピッ、




「はい?」



そう言って、眼鏡女が電話にでた。



俺の話は無視なのか!?







<こらーーーっ‼何時だと思ってるの!?
食べてくるとか、寄ってくる、なら連絡ちょうだいって言ってるでしょう!?>




「おっ、お母さん…」




携帯から大きな声が漏れていて、俺にまで聞こえる。

時計をみると、もう19:00を過ぎている。
両親が心配してるんだな。




「今、学校なの!今から帰るから‼」




<気をつけて帰るのよぉー?>




「うん!」




ピッ、



そう言って眼鏡女は電話をきる。