珠実の声で純平の足が止まる。
「あなた………、もしかして………」
今ので気づく?
いや、声色も微妙に変えてるし、顔も見えないし、気づかないでしょ?
「あなた……、純平……?」
………………………。
沈黙が流れる。
それでも登って行こうとする純平。
「待ってよ、答えて!あなたは…純平でしょ?」
珠実が靴を脱いで、純平の腕をつかむ。
「人違いだ………」
「間違うはずないじゃん!!!
ここの匂い、あなたの声……あなたの腕の筋肉……。
何も……何も変わってない……。
私の大好きな……大好きな純平……」
「…………」

