「ダメよ……今いっちゃ……」
心愛の様子がおかしい。
さっきまで泣いていたのとは裏腹に今は怯えて見える。
「なんなんだよ……。」
「杉浦……帰ろう……、迎えに来てるの…おそらく二人だよね⁇」
心愛が彼氏の腕を引っ張って階段を降りようとする。
「ん、あー、まぁたまちゃんも一緒かもな」
彼氏もなんのことかよくわかってない様子だ。
たまちゃん?たまちゃんってもしかして……。
「純平!!!」
「はいっ!」
考え事をしていた俺は心愛のでかい声で驚く。
「あなたはまだ……」
『空いてるぞ?不用心な家だな……。
圭馬ぁぁああ〜〜いるのかぁー?』
訪問者がドアを勝手に開けて玄関まで入って来たっぽい。
なんて奴らだ。
『おーーーい、圭馬〜神崎〜』
『心愛〜!?いるなら返事してーー!!』
今の声………それは確かに聞き覚えのある声だった……。
俺がずっと聞きたかった……俺の愛しい人の…声………。
珠実……。