俺が下した決断は最悪なものだった。
自分の想いとは裏腹の行動を、1番愛しい人を傷つける形でしないといけない…。
「バラされたくなかったら俺の言うことを聞け」
俺は今まで出したことがないくらい低い声で脅した。
「このあと珠実が教室にやってくる。
俺が最低なやつだと珠実に思わせるんだ」
『ど……どうやって……』
俺の聞いた事のないような低い声に怯えている奴らは本当にバカに見えてくる。
いや、本当のバカは俺だな。
そうして計画は始まった。
案の定珠実はすぐに戻ってきた。
近づいてきて、ドアの前にやってきたのがわかった。
俺は最悪な彼氏を演じた。
彼女の醜態、振り返りたくない過去、不幸な日々、全部を晒した。
そして最低な言葉で傷つけた。
『純平〜薗花とやるときはやっぱり気持ちいいのかぁ〜?』
「あー、まーな。」
俺が言った通りに話す馬鹿ども。
珠実のことをそんな風に見たことなんて一度もない。

