「今はこれで許してあげる……いこ、」
靴音の主が私たちの廊下へ曲がってくる直前に芙夏君はキスをやめて私の耳元で囁き、また私の手を引いて歩き出した。
芙夏君……慣れすぎ……。
ハイペースすぎてついていけない……。
でも自然と嫌じゃないと思ってしまうのはやっぱり好きだから?
芙夏君のキスはとても心が落ち着いて安心する……。
早く芙夏君に触れられたい。
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随分歩いて到着したのはホテルの庭にある噴水広場だった。
といっても噴水と2人掛けのベンチがあるだけなんだけど。
「綺麗………」
大きすぎもなく小さくもない噴水は四方からライトアップされてより綺麗に見える。
また夜に見てることもあって綺麗……。
「俺の親族の誕生日パーティーはここで必ず行うんだけど、俺、この場所が一番好きなんだ。」
「どうして?」
芙夏君が噴水と空を見上げて言う。

