芙夏君は私の手を引いて何も喋らないでずんずん駅の中に進んで行く。
そして電車に乗った。
「あの…芙夏君………」
芙夏君は目を合わせてくれない。
「………」
自然と私も俯いてしまう。
グラっ
「きゃっ………」
電車が揺れて私はバランスを失い倒れそうになる。
まずい、このままじゃ隣の人にぶつかる!
ギュ……
「………芙夏君………」
そんなところを芙夏君が抱きしめて支えてくれた。
恥ずかしい……。
「芙夏君……ありがとう……もう…大丈夫だから…」
そう言っても芙夏君は離してくれない。
「芙夏君?」
「嫌だった………薗花が触られてるの見るの……」
掠れた小さい声でつぶやく芙夏君。
「俺が助けなかったらどうなってたかわかる?」
芙夏君が私の頭の上に顎をおいて話す。
「ありがとう………芙夏君……」
「うん……」
電車の中ってことをことを忘れて、目的の駅に着くまでずっと抱き合っていた。

