「シェフでも俺が作ったものでもない。
………薗花の母親が作ってくれたんだよ…」
「あぁ……昨日家に行ったっていってたな…。
すげぇ、優しい人だな……」
弁当箱につめたのは俺だけど、つめているだけで泣きそうになった。
なんせお弁当を食べるのなんて何年ぶりかわからないから。
「いいじゃん、珠実ちゃん。
俺そういうの好きだよ」
「馴れ馴れしく”珠実ちゃん”なんて呼ぶなよ……」
俺も苗字でしか呼んでないのに…。
「なに?彼氏でもないのにいっちょまえに妬いちゃってるんだ⁉︎
蒼要かわいすぎだろ!」
「うるせぇ、だまれ、死ね」
「こ、こえぇよ…おまえ……」
圭馬がこんな奴でよかったと思う。
薗花があんな容姿でも普通に受け止めてくれて、
俺がどんな奴でも素直に受け止めてくれる。
絶対に言わないけどすげぇいい友達だ。

