帰ってきたらおかえりと迎えてくれた。
行く時はいってらっしゃいと見送ってくれた。
ご飯の時はさぁおあがりと声をかけてくれた。
寝る前はおやすみと頭を撫でてくれた。
それが全て……なくなった。
2人で食べるご飯は少しつまらなかったけど、おばーちゃんと話をして飽きることはなかった。
ご飯もおばーちゃんの手作りでおいしかった。
だけど、おばーちゃんが亡くなった後は……ご飯の味がしなかった。
おばーちゃんが死んだ次の日に家に帰ってくると、何事もなかったかのように、知らない家政婦がいて、俺の世話をした。
もちろんのこと一緒にご飯を食べる相手もいなくなった。
いつも一人。
何をしていても一人。
母さんと父さんは仕事で忙しいから?
いつ帰って来るんだ⁇
あの2人にとっちゃぁ俺は生きてればなんでもいいんだろう。
跡継ぎさえいれば…。
優秀な跡継ぎさえいればいいんだ…。

