「本当……すみません……。
なんでこんなに涙が流れてくんだろ…。」
涙を流しながらそう話す芙夏くんはすごく弱々しく見え、苦しそうだった。
「すごく…おいしいです…。
ご飯に味を感じたのも…久しぶりです。
母さんからご飯を作ってもらうってことがまず…初めてかもしれないです。
温かい家族と、母さんの作った温かいご飯を、皆で手を合わせて食べる。
すごく………羨ましい………」
そうしてまた箸を進める芙夏くんを私は見ていることしかできなかった。
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食事もほぼ食べ終えて、お父さんはまたソファに座ってテレビを見始めた。
私と芙夏くんとお母さんで洗い物をする。
「蒼要くん。
今日、ご家族は家にいないのかしら?」
お母さんがそう言うと、ピタリと芙夏くんの動きが止まった。

