「バイト先の男の子」
薗花の胸元にキスマークをつけた男…。
「あ、紫苑様のことですか⁇
当分会えないですね……。」
名前なんかは俺にとったらどうでもいいこと。
でもそれで悲しそうな顔をする薗花が少し癪に障る。
「そんなに大切な人だった?」
「た……大切………というか………。
少し変態な人だったけど……、
すごく明るい気持ちにしてくれる人……だったかな……。
すごく不器用なんだけど……姉弟そろって……」
たまにクスクスと笑いながら話す薗花。
姉弟って……男だけじゃなかったのか…。
「そうか……」
やっぱりこの話を薗花は眉を少し下げながら話す。
それはもう会えないことを悟っているようにも見える。
「寂しいか?」
「……………。
少し………だけです。」
そう言ってそっぽを向く薗花をとても愛おしく思えた。

