「薗花さん!」
「あ、………新実さん……」
紫苑様の言葉に苛立ちを感じてさっそうと歩いている私を止めた新実さん。
「今日でお辞めになるそうですね」
「えぇ………。
新実さんにはお世話になってばかりでしたね、ありがとうございました」
初めて来た時からいろんなことを教えてもらったもんね。
「いえ、私は別に…
それに、圭馬様に出された料理。
本当にすごかったです。
まさかあなたが本当にあそこまでしてしまうなんて思っても見ませんでした。
茉由様にも紫苑様にも好かれ、立派なメイドでございます」
紫苑様に好かれているかは別として、新実の言葉が素直に嬉しい。
メイドなんてしたことなかったのにメイドとして認めてもらえた。

