「本当に聞いていたとおりまっすぐな子だね。
君のお父さんもいつも心配していたよ。
娘が迷惑をかけていませんか?
娘は疲れていませんか?ってね。
メイドの新実からも良く働く子で助かっているとよく聞いていた。
新実が褒めることってなかなかないのにな。
ほとんどのメイドは新実が怖くて辞めていくんだよ。」
新実さんには来た時から本当にお世話になっている。
怖いと思ったことなんて一度もない。
むしろいい先輩。
「本当にありがとう。
さぁ、茉由も帰ってくる頃だ。
いきなさい」
「はい、本当にお世話になりました」
私は深々と頭を下げ、社長さんの部屋を出た。
「あんな子が紫苑の嫁になってくれればなぁ……」
なんて、社長さんが声を漏らししていたなんて、私は知らない。

