「たまちゃん、僕の家で働いて欲しいよ」
「い、いえ………そういうわけには…」
お父さんの会社の社長さんということでここで働いているわけだから、
苦笑いしかできない。
「瞬が言ってたのは君のことか……」
ボソッとボヤく圭馬様の声は聞き取りづらかった。
「し、瞬⁇」
「あれ?知らない⁇
瀬良田 瞬。
僕より一つ上で、僕の家の執事なんだけど」
「あ……瀬良田さん……」
杉浦家に行った日は必ず家まで瀬良田さんが送ってくれたっけ…。
「何回か聞いてたんだ。君のこと。
変な子がきたって」
そう言ってクスクス笑う圭馬様。
失礼な気がするのは私だけでしょうか。
「一目でいいから会いたかったんだけど、やっぱりたまちゃんだったんだね。
瞬から聞いたよ?同い年で同じ学校だって。
会ったことないのは何でだろーね?
あ、でも瞬の話によると僕が一緒の学校のこと知らなかったんだっけ?」
次から次へとペラペラ喋る圭馬様について行けず、うろたえてしまう私。

