二人がお庭に出られてから数時間後、
茉由様が中に戻ってこられ、私に話しかけた。
私はというと、食器の片づけをしている所だった。
「珠実…ちょっといいかしら?」
「はい、茉由様」
少し元気のないお嬢様に連れていかれたのはお嬢様の部屋だった。
「ここに座って?」
「はい」
お嬢様に促されて中央にあるソファーに腰掛ける。
お嬢様も続いて向かい合うようにソファーに座る。
「珠実…あなたが料理に何かしてくれたのよね?」
「…………へっ?」
茉由様に私が杉浦家に偵察に行っていたことがバレたのか?
「な…何のことですか?」
今の私にはとぼけることしかできない。
「とぼけないで、私は料理作りの初心者なのよ?
そんな私が圭馬様のお口に合った料理なんて…
作れないわ…」
お嬢様にばれている。
そして私はお嬢様に悲しい顔をさせてしまっている…
こんなメイド最悪だ…
「お嬢様っ……
すみませんっ……私……」
今の私には頭を下げることしかできなかった。

