なんか…家まで送ってくれる雰囲気なのかな ?
でも、そこまで世話をかけさせる訳にはいかない。
「けっ、結構でございます。
私は一人で帰れます。
わざわざ杉浦家のお世話になるなど、本当に申し訳ないです!」
「何言ってるの!
そんな改まらなくていいんだよ?
俺も今は固い敬語はやめてるでしょ?
仲良くしようよ、薗ちゃん?」
薗ちゃん⁉︎
なっ、何でいきなりあだ名呼びになるの⁉︎
「キャッ」
いきなり手を両手で瀬良田さんに掴まれる。
「ね?送らせて?」
子犬がするような目で私を見てくる。
そっ…そんな目で見つめられても‼︎
チュッ
「ゃっ!」
はっ、恥ずかしい!
瀬良田さんに両手で掴まれた私の右手は、瀬良田さんに口づけされた。
こういうことにきっと慣れてるんだ!
もう言うこと聞いて早く帰ろう‼︎
「わっわっ、わかりました!
早く帰りましょう‼︎」
そう言って私は右手を瀬良田さんの両手の間からスッと抜き、歩き出した。
そして、瀬良田さんが後ろで
「面白いねぇー……」
と、笑っていたことを私は知らない。

