「………クスクスっ……そうですか。
ならばお通しします。こちらへどうぞ。」
執事さんは一瞬目を見開き、驚いたようだが、その後は小さく笑って、私を奥の部屋へ通してくれた。
「あ、申し遅れました、私はここで長年執事として、圭馬様にお使えしている、瀬良田 瞬でございます。
さっき、あなたを案内していた、お爺さんは、ベテラン執事の柿井さん。
今日と明日、また関わることがあると思いますがよろしくお願いします」
そう、今私を案内してくれていた執事さんは、私と同じくらいの年齢の男の人。
さっきのじいやさんみたいな人がベテランの柿井って人らしい。
「こちらこそよろしくお願いします。」
「お名前、何とおっしゃるのですか?」
「え、薗花ですが…」
「いえ、下の名前ですよ」
と、にっこり笑って話す瀬良田さん。
そんなに知りたいこと?
まぁいいや。
「すみません。薗花 珠実です。」
「へぇー、珍しいお名前ですね。
それでは、お坊っちゃまの前ではしっかり自己紹介してくださいね?
では、こちらが厨房でございます。」
「ご案内ありがとうございました。」
「いえ、では、私はこちらで。」
「はい」
「失礼いたします」
と言って、瀬良田さんは反対方向へ歩いて行った。

