そんなこと……できない……。
今からなんて絶対無理…。
きっとその人には専属シェフがついてるんだ…。
そんな人に私達の普通の料理が食べられるわけない…。
お嬢様の名誉も傷ついてしまうかもしれない。
どうしたらいいの?
このままでは確実に失敗に終わる。
「珠実?」
っ……お嬢様………。
「どうしたの?
もうすぐパイが焼き終わるわ♪
早く見に来てちょうだい」
「はい」
とにかく、私がなんとかしなきゃ…
この事はお嬢様には言えない。
私が言い出したんだし、私がなんとかしてみせる。
ーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
というわけで、とりあえず私は相手の方のお家にやって来ました。
バイト終わりに寄ってるから、外はもう暗い。
ちゃんと街詰家に許可を取ってもらってね?
相手のお家も快く了解を出してくださった。
相手の方の名前は杉浦圭馬様。
上から5番内に入る財閥家だったかな?
新実さんに説明されたものの、あまり覚えていない私。

