「表情筋がやけに緩いですよー?
どーしましたか?」
完全に遊ばれてる‼︎
圭馬に言われれば言われるほど、昼休みの事を思い出して頬が緩む。
俺ってこんなに顔に出るタイプか!?
「なー、それより聞いてくれよ、俺の話」
俺をからかってたのかと思えば、急に深刻な顔をする圭馬。
忙しい奴だ。
「何だよ……見合いのことか?」
「ご名答ー!
さすがよくわかってるね、蒼要君。
でさ、相手のお嬢様が料理作ってくれることになったんだよな…」
「へぇー、すげーじゃん?」
レストランとかで集まって食事じゃなくて、本人の作った料理が出されるなんてすごい。
「それだけ腕に自信があるんだろな」
俺が感心していると、
「いいわけないだろ⁉︎
俺がどんだけ癖があるかわかってるか?」
そういえば。
圭馬の食の好みは変わってて、
この味は嫌い、この味は好き、っていうのが極端すぎる。
だから、専属シェフが圭馬のためについているくらい。
だからこの学園の学食は、全て圭馬好みの味に作られている。
他の生徒はお構いなしということ。
ということで、どんなに料理の上手いお嬢様でも、圭馬の口に合った料理は作れないのだ。
「まぁどんまい。
でもお前、そんなんだったらこれから生きていけねーじゃん」
「仕方ないだろ、嫌いなもんは嫌いだから。」
「まぁ、明後日じゃん?
せいぜい嫌われるように頑張れ」
「他人事だと思って……」

