「本当だ!!綺麗……」
なんて、窓に近づいて、笑顔で外を見ている。
涙なんてなくなってるし。
よくわかんねー奴。
「ねっ芙夏君♪
すごく綺麗だね♪♪」
「………知ってるっ‼」
薗花がクスクス笑う。
笑えるじゃん。
今まで、怒ってる顔ばっかり見てた。
そして、今さっきまでは泣きまくって。
と思ったら、笑ってて……。
こんな奴もいるんだ……。
正直、俺にとってはこんなのただの夕日にしか見えない。
けど、薗花と見てると思うだけで、別の、何か魅力をもった夕日に見えてくる。
自分で何を言ってるのかよくわからないけど。
こいつの笑顔で、俺も笑顔になれる気がした。
心から、笑える。
女子といて心から笑えたことってあるのだろうか?
覚えてないくらい少ないことだ。
薗花は、俺にとって、特別な存在になる……。
この時、俺はこれが"恋"という感情とは思いもしなかったんだ。

