「あのっ……離して⁇」
「あっあぁ……ごめん……」
バッ……
気まずい空気が流れる。
俺が悪いんだけどな…。
「芙夏…君………。ありがとう」
「いや別にこれ……く…らぃ……」
言葉が詰まる。
薗花の言葉に、下げていた顔をだんだん上げて、見た彼女の顔は、
まだ涙が流れているものの、辛い過去にも負けないといったような、笑顔だった。
そして、後ろから夕日に照らされていて、
すごく…………
「綺麗だ………………。」
「ふぇっ⁇」
薗花の目が見開かれる。
ん?……俺……………何て言った⁇⁇
初めて図書館で会った薗花じゃないけど、……心の声が出なかったか⁇
「ふ……芙夏……君⁇」
やってしまった………。
「あっ、あのさ、違うんだよ、その、
あっ!そぅ、夕日!!
夕日が綺麗なんだって!
ほら、後ろ見ろよ‼」
「夕日⁇」
俺、何言ってんだよ……無理あるって…。
夕日は確かにカーテンの隙間から見えていて綺麗だけど、いつもと同じ夕日。
逆に、それに照らされている薗花の方が映えている。
だめだ……こんな嘘通じない……。
何て言おうか……。
なんて、考えていたのに。

