そして、俺が他の人にこの言葉を言う事になるとは思ってもいなかった。
眼鏡をつけていたのはこれを隠すためだったのだろうか?
薗花の右目の目尻には小さな傷があった。
今は成長してるから小さく見えるだけかもしれない。
子供にとったら、大きい方の怪我だと思うけど、どうやってできてしまったのか、聞く勇気は俺にはなかった。
俺が眼鏡を外した頃から泣き始めた。
そして、俺の言葉を聞いて、泣き止む事なく、泣き続けていた。
笑ったり泣いたり、忙しい奴だ。
でも俺は、俺に背を向け、必死に泣くのを我慢している薗花を見ると、勝手に体が動いて、最後には抱きしめていた。
絶対におかしい。
昔の俺はこんなこと絶対しなかった。
泣いてる奴を見ても何とも思わなかったのに…
薗花に対しては、俺が守ってやりたいって思った。
俺が話していている時の薗花の反応を見る限り、過去に何か辛いことがあったんだろうなって思った。
俺はその過去なんて知らないが、俺はきっと、俺がばーちゃんの言葉で心が救われたように、俺の言葉で少しでも薗花の気持ちが楽になってほしかった。

