「傷なんて男は気にしねーよ。
少なからず俺はな?
お前はこれが見られたくなかったのか?
この傷があるから、自分は汚いと思ったのか⁇」
全て当たってる。
私はこの傷があるから穢れてると思っている。
「そんなの絶対に違うからな?
どうやってこの傷ができたとか知らないけど。
ただ単に転んでできただけの傷かもしれない。
もしかしたらもっと辛い過去があるのかもしれない。
でもさ、もっと自分の世界を広げてみろよ⁇
否定する人もいるかもしれないけど、
その傷は、お前の大切な証だろ?
お前が怪我した時に、精一杯生きていた証。」
生きていた……証………。
世界を………広げる?
芙夏君は…違うみたいです。
今まで出会ってきた人とは。
この傷を見た人は同情しかしてくれなかった。
というか、傷自体を、いらないもの、早く治って欲しい、
としか思ったことがなかった。
傷が……生きていた証………。
この傷があるから、私の過去があるって言いたいの?
でも、彼は続けた。
「なんて……、
これ、ある人から俺がもらった言葉なんだよな……」
そう言って、私を見てはにかんだ。

