そして、私が嫌だと突き放そうとした瞬間、言われた。
「痛くないか⁇」
最近できた傷だと思っているのだろう。
「大きな傷じゃなくて良かったな…」
何が良かったのだろうか?
確かに大きいよりは小さな傷の方がいいのかもしれない。
でも、傷がある事には変わりない。
「 私は…汚いの…この傷だって……」
父親に付けられた傷なんだから
言えなかった。
芙夏君と途中で目が合ってしまったから。
目が合った芙夏君の顔は、とても朗らかで、優しく、私に微笑みかけてくれていたから。
「汚くなんかねーよ?
今のお前は、この傷があってこその薗花珠実。
なんだからな。
自分の体に無駄な部分なんてねーよ。」
無駄な部分なんか……ない?
私はこの傷のせいで、いわば、人生を変えられたようなものだよ?
この傷さえなければ…純平とずっと……………
一緒にいられた⁇

