「よくあの本読みきれたな。
絶対無理だと思った。

さっきさ、理科準備室でお前の課題研究見たんだけどさ、お前、国語得意なの⁇
文章が本当に綺麗だった。
読みやすくてさ、共感しやすい。」



芙夏君は満面の笑みで私を褒めてくれてる。
何だか嬉しくなってくる。




「芙夏君のおかげだよ。」




「は?」



私がそう言うとぽかんと口を開ける。




「芙夏君が必要最低限の、興味深くてわかりやすい本を選んでくれたから、私は書けたんだよ。
あの日の放課後……私がこの机で寝ていた日も…
感謝の気持ちを伝えたかったの。」





やっと言えた…私の気持ち。
本当にこれだけは感謝していた事。
まさか課題研究が選ばれるなんて思ってなかったけど、
それでも、期限に間に合ったのも、いいものを作れたのも芙夏君のおかげなんだ。




「はぁ……調子狂う……。
お前って変なところ、正直すぎんだよ……」



私は芙夏君の言ってる意味がわからない。



それに話し方もいつもの芙夏君に戻っている。