侍先生!

…知らなかった。
カツオってモテるのか。


そういえば、中学の頃は、よく、『あなた、勝男くんの何なのよ』とかやたらと聞かれたよーな…。


…そこで気付けば良かった。


美智子ちゃんに協力しようと思ってたのにー!
ライバル多いよ、美智子ちゃん!


私は肩を落として落ち込んでいた。


「森本って、モテるんだなー」


後ろからそう言ったのは、侍先生だった。


「そうみたいですね! もうビックリですよ」


美智子ちゃんは、カツオがモテる事、知ってるんだろーか。


言うべき?言わないべき?私は悩んだ。


「勉強は、大丈夫そうか?」


「次期生徒会長の美智子ちゃんに教えてもらったから、大丈夫!」


私はピースサインをした。


「そうか。 なら大丈夫そうだな」


先生はそう言って笑ったけど、なんか…寂しそうな笑顔だった。


やっぱり、真帆さんの事が、まだ好きなのかな?


私は真帆さんに言われた言葉を思い出してしまった。
涙がでそうになって、慌てて先生から、顔をそらした。


「私、帰って勉強します。 先生、さよなら」


精一杯笑って、先生に手を振った。