侍先生!

相談なら、教室や職員室、進路指導室があるのに。


そう言われて足を運ぶと、たいがい、生徒からの告白だったりする。
女の子にとっては、教師との恋は憧れだって、彼女が話していた事もあった。


俺が好きなんじゃない。
教師である俺が好きなんだ。


そう、自分に暗示をかけた。


舞い上がってはいけない。
俺は、大人なんだから。


五時間目の授業が終わって職員室に行くと、また姫条の事でせいじ先輩に怒られた。


…アイツ、俺に対していやがらせしてんのかな。


「侍先生、私と信長の未来について語りあわない?」


帰りのHRが終わったあと、姫条は俺のもとに駆け寄ってきて、そう言った。


「キミと信長の未来には興味ないけど…まあ、付き合ってやるか。 …でも、ちょっと待っててくれるか?」


姫条は、キョトンとした顔で、二回ほど瞬きをした。