侍先生!

「お前の言う事なら聞くと思うねん。 一回、活入れたってくれ」


…活、ねえ。


酒の席でも、文句を言われるのはウンザリだしな。


一回言ってみるか。と、職員室を出ると、そこには噂をしていた姫条が居た。


たくさんの本を持って、よろよろと歩いていた。


誰かにぶつかって、本をぶちまけて、呆然と床に座る姫条を見て、少し笑った。


本を拾うと、姫条は、


「侍先生!」


と叫んだ。


侍田、から侍に変わってしまったようだ。



「違う! “倖田”先生! キミはほんと…いい加減、人の名前を覚えなさい」


「先生こそ! “キミ”なんて失礼じゃない?」


頬を膨らまして怒ってみせる姫条の、頬を突いて潰してみた。


…これってセクハラか?
…セクハラじゃないよな。