侍先生!

「お邪魔しまーす!」


ここが侍先生の家かあ…。
なんか先生の匂いする。


…って私は変態か。


リビングに入ると、大きなテレビの横に、大河ドラマのDVDがいっぱいある。


「あー! これ、私もほしいやつー!」


「いいだろ? プレミアDVDBOXなんだぞ」


「いいなー! 高校生には手が出ない高さだもん」


先生は得意げに笑って、冷蔵庫に向かう。


「ほら。 これ」


先生が出したのは、ブッシュドノエルのケーキ。
飾りに、織田信長モデルっぽいの砂糖菓子がついている。


「すごーい! これ、先生が作ったの?」


「あったり前だろ? どう? 感動した?」


「したした! 褒めてつかわすぞ!」


「ははー、光栄です!」


二人でケラケラ笑ったあと、味見しようと手をのばした。


「まだだめ。 夕飯食ってからな」


「えー! じゃあ何で先見せたの?」


「見せたらテンション上がると思ってな、さっき変だっただろ、お前」


…あ、さっきの事か。


「えへへ、ごめんなさい」


「いいけどな、なんかあったのか?」


「べ、べつに」


「あやしいな、お前…さてはやらしい想像でもしてたんじゃないの?」


先生がからかうように笑うと、私は反論しようと思ったのに、顔を真っ赤にして何も言えなかった。