皐月と和也くんは、楽しそうに聞いていた。
全部、とはいかなくても、たいがい話終わったあと、皐月は目を輝かさせながら言った。


「あんた、頑張ってんじゃん!」


「そーだよ! あのまいちゃんがデートとかって考えられなかったよ、俺!」


え?どーゆうこと?


「あんた、恋愛のれの字もなさそうなおこちゃまだったのにねえ。 おねーさん嬉しいわ」


誰がおねえさんだ。


「てかさ、絶対先生もまいちゃんに気があるっぽくない?」


「私も思うー!」


皐月と和也くんはキャッキャッと盛り上がる。


「それは無いよ」


私がそう言うと、二人はキョトンとした顔をした。


「先生には、真帆さんがいるから」


真帆さんと先生がその後どうなったかなんて、知らないけれど。


…いや、聞きたくないだけかもしれない。


「まい。 元カノは元カノだよ? もう終わった話じゃん」


「でも、嫌いで別れたわけじゃないみたいだし…」



私は、先生が好き。


まだ先生が、真帆さんの事が好きだとしても。



“俺は、お前がどいつを好きでも…ずっと好きだし”
カツオのあの言葉。私には痛いほどよく分かる。