侍先生!

…好き。って、私…を?
カ、カツオが?


「え? なんかの冗談…」


「冗談じゃねえよ。 ずっと好きだった。 いつからか、なんて覚えてないけど、もうずっと前から」


ずっとって…。
ずっと一緒にいたけど、そんな素振り、全然見せなかったじゃん。


カツオの事は、好きだけど。
でも、兄弟ような感情で。


私が好きなのは…。


「姫条!」


おばけ屋敷を出た瞬間。先生の声がした。


「お、先生。 仕事終わったの? じゃー俺はクラスの奴らと遊んでくるわ! じゃーまたな、まいまい!」


カツオは、いつもの口調でそう言ったあと、振り返らずに去って行った。


「悪いな。 あのあと、またなんか問題起こってさ」


「そ、そうなんだ」


「…姫条?」


「は、はい?」


「顔赤いけど、どうした?」


私、顔赤くなってる?私は手で顔を覆って、熱を逃がそうとする。


「お、おばけ屋敷が暑かったんですよ」


「…そうか」


先生は、眉と眉の間にシワを作って、私を見ていた。