侍先生!

「ううん、ごめん! イキナリ変な事言っちゃって! それは森本くんが姫条さんに作ったものだし!!」


顔を真っ赤にして手を振る。


「カツオに頼んだらどうですか? きっと作ってくれますよ」


「それが~…今から休憩なんだって…。 来るの遅かった~」


涙目になりながら悲しむ名前も知らない女の子。


…カツオ、モテモテだなあ。


「じゃあ、良かったらこれ食うか?」


先生は、自分のぶんのクレープをその子に差し出した。


「え、でも…」


「俺、甘いもの苦手なんだよ」


…そうだっけ?


「え…じゃ、じゃあ…ありがとうございます…」


女の子は顔をまた真っ赤にして、先生からクレープを受け取った。


一口一口、嬉しそうに食べていた。
私と先生は、クレープ屋を出て、廊下に出た。


「良かったんですか? 先生」


「なにが?」


「クレープ。 好きだって言ってたじゃないですか」


「俺が食うより、あの子が食ったほうが、クレープが喜ぶだろ」


「クレープ? カツオじゃなくて?」


先生は意味の分からない笑みを浮かべた後、『次はたこ焼き屋にいくか』と言った。