侍先生!

「あっ! ほんまに飛ばしやがった!」


せいじは窓の外にふわふわと飛んでいく紙ヒコーキを見た。


「せいじ、これが青春ってやつかなぁ」


「もっと良い青春をおくれ。 寂しなるわ」


私とせいじは、紙ヒコーキを少し眺めて、窓を閉めた。


「お前が成績良いのって日本史のみやからな」


「日本史以外はくそくらえって感じかな」


「おまえっ! 数学教師に言うなよ!! 傷付くやろ!」


「だって、面白くないんだもん。 サイン、コサイン…なんだっけ?」


「お前がコサインまで言えることにビックリやわ」


せいじは目を細めて私を見た。


「30点以下はお前だけや。 小テストやから補修は無いけど、中間テストで悪い点取ったら、補修あるからな、覚悟しとけよ」


「えぇ~?」


「えぇ~ちゃうっ! 強制やからな!」


せいじは私にそう言って、授業を再開した。