登校日の日、姫条を呼び出して資料を作ってもらうことにした。


宿題は珍しく終わってるんだとさ。
森本に手伝ってもらったらしい。


…また、森本?
こいつ、やっぱり…。


「ヒマなら、デートするか」


「へ?」


「俺とお前で」


特に意味は無い。
そう言ってみたかっただけ。


「い、行く!」


「じゃあ、決まりだな」


「でも、ひとつ交換条件がある」


なんでか、気になってしまうから。
聞いても、いいのだろうかと思うけど、でも…。


「俺の質問に、答えてほしい」


そう言うと、姫条は難しそうな顔をした。
何を聞かれるのか、不安なんだろう。


「本当の事を話せよ?」


俺がそう言うと、姫条は背筋をビシッと伸ばした。


「はいっ」


「絶対だぞ?」


「ちょ、分かってますって! じらさないで下さいよ! 早く言ってくださいー!」


姫条はもどかしそうに、地団駄を踏んでいた。俺はまっすぐ姫条の目を見た。


「お前、さ」


姫条は小さく頷いて、俺の目をじっと見る。


「森本の事が好きなんじゃ、ないの?」


そのあと、姫条は何も言わなかった。


心のなかで、否定してほしい気持ちがあった。


…なんなんだ、この気持ち。


なんで真帆には、聞きたい事が聞けなくて、姫条には聞きたい事を聞くんだろう。


矛盾してる、俺。