侍先生!

五時間目は、数学。
…せいじの授業だ。


「姫条ー!」


せいじの声が大きすぎて、耳がキーンと響く。


そんなに大声出さなくったっていいのに。


ただの、どうでもいい紙切れ、ほんっとにどうでもいい、紙切れを。
半分に折って、広げて、中心に向かって折る。


…紙ヒコーキを作っているのだ。


「お前、自分のテストを紙ヒコーキにすんな!」


おでこに血管を浮き出して怒るせいじ。


「いいじゃんー、いらないんだから」


私は、眉をハの字にして、せいじに言った。


「ふん、紙ヒコーキにして飛ばしたら、誰かが拾って見るぞ? いいのか?」


「よろしおますで」


「どこの言葉や!」


せいじは、学生の頃までは関西に住んでいたらしく、たまに、いや…結構?関西弁が出る。


せいじを無視し、窓からテストという名の紙ヒコーキを飛ばした。