「お前……いつからそこに」


ほんのり赤く頬を染めた蓮さんがこちらを見つめながら訊く。


「蓮さんが“だぁーっ”て叫ぶ少し前辺りから……」


蓮さんの前に出ていきぼそぼそと白状すると、彼は片手で顔を覆って大きくため息をついた。

あ、なんか今の照れてる蓮さんちょっと可愛いかも。


「……蓮さんも、デート楽しみなんですね?」


なんとなく意地悪したい気持ちになってそう尋ねると、指の隙間から不機嫌そうな目をこちらに向けて、蓮さんが言う。


「……るせーよ。支度できたんならさっさと行くぞ」

「はい!私は大丈夫です。そういえばどこに行くつもりなんですか?」

「お前はどこがいい」

「蓮さんと一緒なら、どこでも!」


ふうん、と言って少しの間何か考えていた蓮さんだけど、やがて私の手を取り外へ連れ出した。

車を出しますかという執事さんの問いには首を横に振っていたので、歩いていける場所なのかな?と予想しつつ、蓮さんとの初めてのデートが始まった。