「で、できた……」
たった三着のシャツの袖口に、ボタンを付け直すだけの作業。
それでも私は半日近くかかってしまい、ようやく一息つけた時には窓の外は真っ暗だった。
「蓮さん……今日も遅いのかな」
そう呟いて、窓ガラスをそっと撫でたときだった。
ガチャリ、部屋の扉が開く音がして……
「……帰ったぞ」
「蓮さん!」
おかえりなさい、と駆け寄ると、蓮さんが小さな箱を私に差し出した。
「……土産だ」
「おみやげ?」
「銀行の向かいに新しくできた洋菓子店の店長が、挨拶にともってきた。たぶんクッキーか何かだろ」
「わぁ、ありがとうございます!私甘いもの大好きなんです!」
満面の笑みでその箱を受け取り、かけられたリボンを解こうとする。
……と、急に蓮さんの腕が伸びてきて、絆創膏だらけの私の手を取った。
「お前、これどうした……?」
「あ、何でもないんです……ちょっと血が出ただけで……」
蓮さん、心配してくれてる……?
だって、怪我をしているのは私なのに、どうして蓮さんが痛そうな顔をしてるの……?

