翌日。
「…ありがとう、ございました……」
会計が終わったお客に軽くお辞儀をする。
若い、水着姿の男女。
見る限りカップルだと思う。
小さくなっていくそのカップルの後ろ姿を見ていると、ふと重なるのは先輩と雪菜ちゃんの姿。
仲良さそうに2人寄り添って歩くあのカップルが、先輩と雪菜ちゃんにしか見えない。
もし雪菜ちゃんの告白が成功していたら、今頃あの2人はああやって海を満喫していたのかな…
そんなことばかりを思ってしまう。
『…嘘つき……!!』
ズキッ
雪菜ちゃんに言われたあの言葉を思い出す度、胸が痛む。
昨日の出来事から今日の午後まで、ずっと雪菜ちゃんとは話してない。
話しかけようとはした。
でも雪菜ちゃんは何も言わずに私の横を通りすぎて、何処かに行ってしまう。