赤ずきんは狼と恋に落ちる




綺麗な彼女の赤色の唇が、ゆるりと弧を描く。


千景さんのお友達なのかな?




優しげで美人な彼女の笑顔を、じっと見つめる。


見れば見るほど、本当に綺麗な人だ。



「ん?どうかしたの?」


私の視線に気付いたのか、その笑顔がグッと近づいてくる。



「いいえ!何でもないです!」




顔の前で両手を横にぶんぶんと振ると、「そう?」と、また口角を上げた。



「彼ね、お店開いてるでしょ?よくうちのコーヒー豆買ってくれてるの」



私の目の前に、コーヒーカップとお砂糖、ミルクが順に並べられていく。



「うちの店自慢のコーヒーとショートケーキ!きっと気に入るわ」




いい香りのコーヒーと、可愛らしいショートケーキを置くと、「どうぞごゆっくり」と、柔らかい笑みを残して去っていった。