ジャリッ、と地面を擦る音がだんだん近くなっていく。
島上さんもさすがに気がついたのか、少しだけ体を起こす。
暗い道の、頼りなさげな街灯の下に、長い長い影が出来上がる。
ゆらりと動いたかと思えば、何だか聴いたことがある声で、影は喋った。
「こんなところで、何してんの?」
仏頂面の幼い顔が、街灯に照らされて白く浮かび上がる。
片手にはスーパーの袋らしきもの。
ガサリと音を立てながら、私と島上さんの方へと近づいてくる。
「もしかして、イイところだった?ごめんね?」
人を小馬鹿にしたような顔。
前に会った、千景さんのバーで働いている人だ。


