私が理由を訊く間もなく、島上さんは私の右手を取り、ガチャリとドアを開けた。
どうしよう……!
渡部さんとかに連絡しないまま出ちゃった……!
「島上さんっ、1回電話で連絡してから……」
「あー、しなくていいよ」
特に気にもしていないような様子で、彼はどんどん前に進んでいく。
右手を離せないぐらいにぎゅっと繋がれたまま、彼に追いつこうと足早になっていく。
こんなことになるなんて、思っていなかった。
飲み会で抜け出すカップルを度々見ていた私が、まさか同じことをしているなんて。
考えられない……。
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