赤ずきんは狼と恋に落ちる




つい昨日までの私は、不運なんて言葉じゃ表せないほど、惨めなものだったのに。



たった数時間で、180度変わってしまった。






「千景さん」



帰り道、初めて私から言葉をかけた。




「うん?」


「ありがとうございます」




千景さんは少し驚いたような顔をして、曖昧に笑った。




たとえ、千景さんは意味が分からなくても。



私自身だけが納得していても。





それで、いいの。