「やっぱり、緊張するもんやなあ」
はあっと息を吐く千景さんに、「私と一緒だったんだ」と少し嬉しく思う。
「ほら、な?」
グッと頭を押さえられ、胸元に寄せられる。
トクントクンと、早めの鼓動が耳に心地好かった。
「ほんとだ……」
ふにゃりと力の抜けた笑みを零す。
愛おしさが溢れてくるみたいで、私も千景さんの左手を胸の上に当てた。
「一緒ですよ」
そっと顔を上げ、笑いかけると、そのままキスを落とされる。
「そういうのされると、眠れへんのやけど?」
「眠れますよ」
やっとうとうとし出した私に、千景さんもふわりと笑ってくれる。
「おやすみ、りこ」
前髪を撫でる手つきが、とても優しくて。
ふわふわとした気持ちのまま、瞼を閉じる。
静かに聴こえていた雨音が、止んだ。


