いつの間に島上さんはそんな情報を仕入れてきたんだろう。
さすがだと思いつつ、さっきからちらほらと感じていた視線は彼に向けてのものだったのかと理解する。
当の本人は気付いていないみたいだけど。
千景さんのお店が人気になることは嬉しいけれど、何だか複雑だ。
相手が誰だかはっきり分からないのに、妬いてしまいそう。
そんなもやもやを払うように、さっき芳垣さんが出してくれた食前酒を一口飲む。
「佐々木さん、大丈夫?顔赤いけど」
「そうですか?私は大丈夫ですよ」
店内が暖かいから火照っちゃって、と手で煽いでみせると、ぴとりと頬に冷たい指が触れた。
「し、島上さん?!」
「本当だ、熱い」
クスッと笑う彼の目が、やけに艶めかしく光って揺れる。
……これはお酒を飲んでいるせいにしていいかな。
何事もなかったように指を離すと、「はい」とデジカメの電源をいれて撮った写真を見せてくれた。
「本当に上手ですね……。これ、すごく綺麗……」
上手く照明の角度に合わせてボトル棚を撮っている写真。
おしゃれでレトロな雰囲気がいっぱいに広がっている。
「これ使いたいです」
「ありがと。そう言ってもらえて良かったよ。あとまだ撮るけどそれも全部佐々木さんに見てもらってもいい?」
「はい。分かりました」
デジカメを島上さんに返すと同時に、芳垣さんがコトンとサラダを目の前に置いてくれた。
「ありがとうございま……」
「ねぇ、もしかして二人って付き合ってるとか?」


