これは訊いたらまずいかもしれない。
お客として、結構頻繁に通っていたつもり。
でも今はそれよりも、彼女としてだ。
彼女であるなら、彼の経営しているバーの名前くらい知っていて当然だ。
訊くに訊けない。
千景さんには申し訳ないけれど、近いうちにバーへ行って、こっそり調べておこう。
心のどこかでモヤモヤするも、別に今度取材に行くお店が千景さんの所であると決まった訳ではない。
都内には数えきれないほどバーやカフェがあるんだし、「エトランゼ」が千景さんのお店である確率は低いだろう。
「違うよね」とぼそりと呟いて、スケジュール帳を取り出して、「千景さんのお店の名前確認!」とだけ書いてしまう。
パソコンの電源をつけ、私も今日こなす分の仕事に取りかかった。


