千景さんの一つ一つの動きが、あまりにも艶かしくて。
だけど、そんな表情を見せる彼から、目を逸らすことは出来なかった。
上がった息の中、まだ閉じていない唇に、千景さんの濡れた唇がまた近付く。
わざとらしくチュッと音を立てて吸い付いて、すぐに離れていく。
考えるのを既に止めてしまった私の思考と、
まだ物足りなさそうに開いた唇。
千景さんと居るからか、今日の私は随分と我侭な気がする。
涙の理由が変わってしまった今、ひどく甘えたい気分だ。
あと、1回。
もう、1回だけ。
そう思ってしまった以上、半分理性が失われた頭で、控えめに彼の下唇の端にキスを落とした。
私が初めて自分からしたキス。
お世辞でも、器用なんて言葉は言えない。
それでも、もう止められずに、一瞬だけ押し付けては離れ、押し付けては離れ、を繰り返す。
キレイな言葉も、上手な言葉も、
私は言えない。
だから、せめてこれだけ。
下手で、不格好なキスでも、
伝えられたら。


