「んん~、なにこれ、美味しいー。アナタ、シェフなの? ……あ、そういえばまだ名前聞いてないわよね」
そう、僕はまだ、彼女に自己紹介をしていない。
彼女は僕と初めて会った時、僕に何度も名前を言っていたけど、僕は頭がこんがらがっていたから、自分の紹介なんてできるわけがなかった。
まあ、それもある意味じゃ不幸中の幸いだ。
(なんにも、俺達のこと知らないんだな)
改めて、彼女が姉貴とは違う人間なんだということを思い知らされたようだ。
ふと、仲代先生の言葉を思い出す。
(――『多重人格で現れたほかの人格は、なにも病原菌じゃない』……さあどうだか。
姉貴じゃないだれかが、姉貴の体を動かしてる。充分病原菌じゃないのかよ)
そう、僕はまだ、彼女に自己紹介をしていない。
彼女は僕と初めて会った時、僕に何度も名前を言っていたけど、僕は頭がこんがらがっていたから、自分の紹介なんてできるわけがなかった。
まあ、それもある意味じゃ不幸中の幸いだ。
(なんにも、俺達のこと知らないんだな)
改めて、彼女が姉貴とは違う人間なんだということを思い知らされたようだ。
ふと、仲代先生の言葉を思い出す。
(――『多重人格で現れたほかの人格は、なにも病原菌じゃない』……さあどうだか。
姉貴じゃないだれかが、姉貴の体を動かしてる。充分病原菌じゃないのかよ)

