もちろん焦った。

彼女はあくまでも姉貴だし、姉貴が歩けないことは近所の人も知っている。

それで真乃がランニングなんかして回ったら、妙な話になってしまう。

……さらに言えば、真乃が途中で姉貴に戻ったら、姉貴はどうなるんだ。

彼女もわけのわからないうちに、どこかの道の上でばたりだ。

そんなことになったら、困るのはやっぱり、姉貴。

もちろん、そうなることが心配だから――

「ほら、味噌汁と」

「あ、ご飯、これの半分でいいよ。私それほど食べないし」

「はいはい」

だから、僕は慌てて、

「さ、先にちゃんと朝飯食ってかないか?」

と、強引に彼女を繋ぎ止めることに専念したわけだ。